![]() |

■突然変異的に驚異的なギタリスト
元レインボーのボーカルだったグラハム・ボネットのバンド「アルカトラス」で19歳〜20歳でインギ―は、一躍世界的に有名なギターヒーローとなるわけだが、なぜ突然変異的に驚異的なギタリストが登場したのかを考察したい。
1963年6月30日出生。5歳の誕生日にはプレゼントとしてアコースティック・ギター、翌年の誕生日にトランペットを母からもらうが、どちらも長続きしなかったという。
しかし、1970年ジミ・ヘンドリックス死去。TVで彼の特集番組を見て、ギターに興味を持ち練習を始める。
![]() |

また姉からディープ・パープルのレコードを貰い、リッチ―・ブラックモアのギターのコピーを開始。
![]() |

またこの頃パガニーニのバイオリンの曲をたまたまTV番組で観たことに非常にパガニーニに感銘を受けヴァイオリンの楽譜をギターで弾く練習をしていた。
![]() |

同時にスコーピオンズのウリ・ロートの奏法を取り入れていった。
![]() |

※余談だがマイケル・シェンカーもウリ・ロートから強く影響を受けている。
15歳のときに学校を退学、ギター修理店でリュート製作をしていた。
しかし、いつも自宅地下の練習場でギターを弾いていたようだ。その他、彼のヤングギター2000年1月号のインタビューによれば、「幼い頃から、魔術やUFO現象なんかにすごく興味をもっていたから、昔から超常的なことならなんでも関心があったよ。」と答えている。かれの楽曲や歌詞にはそういったファンタジー的な要素が強いのはその点が大きいと思う。
おそらく、彼が天才たる由縁なのだが17歳か18歳頃には、彼独特の超絶技巧を散りばめたドラマティック奏法をほぼ完成させていたに違いない。
そして1983年、イングヴェイのデモテープを聴いたシュラプネル・レコーズのマイク・ヴァーニーの誘いでアメリカのLAにわたり、「スティーラー(Steeler)」に加入。しかし、渡米前には彼のアマチュア時代のデモテープがマニア間で出回っており、アメリカのメタル・マニアなるマニアックな雑誌では82年の時点ですでにベストギタリストに選出されている程の人気ぶりだった。
![]() |
![]() |
ギタープレイを聴いてもらえばわかるように既にそのスタイルを完成させている。
同年これを脱退、グラハム・ボネット率いる「アルカトラス(Alcatrazz)」に加入し名声を得る。
![]() |

![]() |

まず、彼のギターソロについて考察したい。たしかに彼がインタビューで言っていたようにジミヘンの影響はアルバム「トライアル・バイ・ファイアー:ライヴ・イン・レニングラード 」の「Spanish Castle Magic」で聴くことができる。
しかし、その他のクラシカルな曲ではその影響を感じることはできない。むしろバイオリンの巨匠であるパガニーニの「24 Capries, Op.1」のNo1,No5を聴いてもらいたい。
そのまんまもろにインギ―の超絶技巧プレイだ。ギターソロにおいては、ジミヘンやリッチ―・ブラックモアよりもパガニーニやバッハ等の影響が強く感じられるハーモニック・マイナースケールを多用したプレイをしている。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
さて、ここで簡単にニコロ・パガニーニ(1782〜1840)ついて触れておきたい。
彼は、近代社会における最初のバイオリンの巨匠であり、当時の欧州で名声を得ていたのはオペラ歌手ぐらいのものであったにも関わらず、その華麗な速弾きとハーモニクス奏法、チューニングを変えてスコルダチュラという古い奏法を再現した天才的な器楽奏者として絶対的な地位を築いた。
他のバイオリニストだけではなく、リストのピアノにもパガニーニの超絶技巧の影響を垣間見ることができる。
しかし、やっかみからか、彼は悪魔に魂を売り渡した代わりにそのバイオリンの技巧を得たというまことしやかな不吉な噂が一生つきまとった。
これは、ブルースギタリストのロバート・ジョンソンも言われていたことだ。
![]() |

そのため、余談ではあるが1840年に彼が亡くなった際に、彼の地元の農民が怖がり3年間も埋葬されなかったという逸話がある。
そして、パガニーニだけではなく、バッハの美しいメロディーラインをギターソロに織り交ぜながら超絶技巧の速弾きして披露している。
![]() |
イングヴェイ・マルムスティーン・フェイヴァリット・クラシック 1 新品価格 |

イングヴェイ本人が選曲しており、ヘンデルやバッハ、ベートーベンの曲が選ばれている。彼がギターソロにおいてそういったメロディを弾いているので一目瞭然の選曲だ。なかでも、バッハのメロディーラインをギターソロに散りばめているためバッハからの影響は大きいと思う。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
自然の成り行きともいえるが結果的に彼は、オーケストラと共演する作品も発表している。さて、次にギターソロ以外の部分作曲面やギターリフについて考察したい。「インスピレーション」という影響を受けた曲をカバーしたアルバムを出している。
![]() |
新品価格 |

もちろん、ディープ・パープル、レインボー、スコーピオンズ、ジミヘンの名曲がならんでいる。
しかし、インギ―の中性ヨーロッパ風のテイストは、ロニー・ジェイムズ・ディオ在籍時のアルバムからの影響が特に大きいと思うし、アルカトラスでは、グラハム自身が元レインボーであるため「オール・ナイト・ロング」などレインボーの大ヒット曲をライブでプレイしていた。ジョー・リン・ターナー在籍時は、ややレインボーと同様にややポップなテイストの曲も作っている。
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
ギターのサウンド面についても非常に優れており、まるでバイオリンのような艶のあるギターサウンドを作り出している。
使用機材は主にフェンダー・ストラトキャスターとマーシャル・アンプで、DOD250オーヴァードライヴプリアンプとBOSS NS-2 ノイズ・サプレッサーも使用している。現在はDOD社と共同で開発したYJM308プリアンプオーヴァードライヴを使用。
以下は、通常のストラトだが、イングウェイはネックをスキャロップに変更し弾きやすくしている。
![]() |
Fender エレキギター Player Stratocaster・ HSS, Maple Fingerboard, Buttercream |

ピックアップはデフォルトの物ではなく、ディマジオ製の製品 FS-1、HS-1、HS-2、HS-3、HS-4(旧名 YJM) を使用しており、ノイズの少ないシングルコイルながらダブルコイルの中間の様な美しいサウンドを構築していた。ギターの音色だけで、インギ―とわかるサウンドという事だ。
■イングヴェイ・ヨハン・マルムスティーンの音楽との出会い
イングヴェイ・ヨハン・マルムスティーンの音楽との出会いは、35年前・・・
学生の頃に、洋楽が好きな友達から凄いギタリストがいると聞いてからだ。
そもそもイングヴェイに出会う以前に、エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジのいわゆる3大ギタリストと言われるヤードバーズ出身の天才的なギタリストのギターは聞いていたし、ジミヘンやHR、HM系としてディープ・パープルやレインボーで活躍していたリッチ―・ブラックモアのギター、1980年台初頭はマイケル・シェンカーが大好きだった。
また、クラシカルな要素を持っていたOZZYのランディー・ローズのギターも大好きで聴いていたし、凄腕のテクニカルギタリストとしてヴァン・ヘイレンも聞いていた。
だから、友達からイングヴェイの名前は聞いたものの新人のギタリスト・・・
特に上記に書いた彼らと比較すれば、そんなでもないのでは?と正直思っていた。
レインボーを首になった?グラハム・ボネットの新バンドアルカトラスの1st「アルカトラス」を聴いてみた。
![]() |
新品価格 |

スウェーデン出身の若干19歳のギタリストが、とにかく凄かった。
とても新人とは思えない、圧倒的な技術と天才的なメロディーセンスを持っていた。
もちろんグラハムボネットの声も大好きだが、彼のギターソロにくぎ付けになってしまう。
彼は速弾きが特に注目されがちだが、そのクラシカルな、泣きのギター、ドラマティックでエモーシャルな展開。僕が大好きなランディー・ローズとはまた違う意味で、バロック音楽からの影響をもろに感じさせる正確で、素晴らしいメロディーライン。そして速弾きが意味のない速弾きではなく、ちゃんとした展開の中で非常に流麗で自然に披露されている。
何より、ギターソロのサウンドが極めて美しい。まるでヴァイオリンのような音色のエレキギターサウンドを構築している。
「なんじゃ、こりゃ!!」と唖然としてしまう。圧倒的なセンスの良さ。
マイケル・シェンカーやランディー・ローズが持っていた、素晴らしいメロディセンスにパガニーニやバッハのクラシックの要素を織り込んだ圧倒的なオリジナリティを若干19歳のギタリストが披露しているのだ。
まさに『天才』と思った。
その後、彼はバンドを脱退して自分のバンドを作り活動していく。
それが、また素晴らしい。
![]() |
新品価格 |

![]() |
新品価格 |

![]() |
新品価格 |

彼が1987年に交通事故を起こして昏睡状態になる前の作品、上記の3作品は本当に素晴らしい。
・ブラック・スター
・ファー・ビヨンド・ザ・サン
・アイル・シー・ザ・ライト・トゥナイト
・アイアム・ア・バイキング
・ディサイプルス・オブ・ヘル
・ライアー
・Trilogy Suite Op:5
など、いわゆる彼の代表曲となっている曲がたくさん含まれている。
それと、交通事故後の作品もまた違う意味で楽曲がキャッチ―になったり、様々な取組みがなされれているが、
やはり初期の作品が僕は大好きだ。本当にドラマティックでエモーショナル、正確無比で流麗なプレイを聴くことができる。
(交通事故で残念ながら手を痛めてしまって、物凄い努力をしてプレイを回復したと思うがどうしても、初期の頃と若干ニュアンスが違う)